企業法務弁護士 ドットコム

しらと総合法律事務所

企業の事情を踏まえたオーダーメイドのアドバイスを提供〜予防法務で紛争を回避し、発展を支える

東京都調布市に事務所を構える白土 文也弁護士(白土文也法律事務所)に、仕事をする上での心構えや事務所の特徴などについて話を伺いました。相続と企業法務をメインに取り扱い、どちらの分野にも関連する事業承継の案件にも力を注いでいるという白土弁護士。次世代に円滑に事業を引き継ぐためのポイントや、予防法務の重要性、顧問弁護士を持つメリットなどについても詳しく聞きました。(第二東京弁護士会所属)

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白土 文也弁護士
しらと総合法律事務所
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インタビュー

相続と企業法務の共通点は、トラブル発生を予防できること

事務所設立の経緯を教えてください。

司法試験に合格した後、すぐに司法修習を受けず、IT系のベンチャー企業に就職して営業や資金調達などに携わりました。司法試験に合格はしたものの、もともと経営に興味があり、ビジネスの世界で活躍することにも魅力を感じていたため、経営者の元で仕事をして知見を広げたいと思いました。入社当時は、役員以外には社員が私1人だけの会社だったので、あらゆる仕事を経験させてもらいました。

約2年間働いたのち、司法修習を経て弁護士になり、はじめに勤務した事務所では離婚や相続、債務整理など個人の方の依頼を中心に手がけて経験を積みました。3年ほど勤務してから中国(上海市)の法律事務所で1年間勤務し、帰国して数ヶ月後に事務所を開設しました。

今受けている案件としては相続が一番多く、受任件数の半数以上を占めています。もう1つ力を入れている分野が企業法務です。開業当初からこの2分野を柱として取り組んでいます。

相続と企業法務の共通点は、予防によってトラブルを未然に防げることです。例えば交通事故のような不慮の出来事は法的には予防できませんが、相続であれば、例えば遺言書をきちんと書くことで、企業法務で言えば契約書を交わすことで、紛争発生のリスクを大幅に引き下げられます。

予防法務について、企業の方はどのように考えているのでしょう。

弁護士になってから様々な中小企業の経営者と接してきましたが、多くの方が予防法務の意識が弱いです。「契約書なんて交わしたことがない」という話を普通に聞きます。

民法上は、契約書を作成せず、口約束だけでも契約は成立します。ただ、例えば「売掛金を回収したい」という場合に、口約束しか無いために代金額を主張立証するのに苦労するケースもあります。その場合、訴えるのも大変です。

メールのやり取りや請求書を証拠にして何とか訴えることができる場合もありますが、契約書があればそのような手間をかけなくても、「この金額で合意している」ということを簡単に証明できます。すぐに判決を取って相手方に請求できますし、支払いを渋られたら強制執行をすることも可能です。

今も、トラブルを経験して初めて契約書の重要性に気づいた方から、「雛形を作りたい」ということで依頼をいただいています。

経営者は売り上げや利益を求めて日々努力しています。ところが、売掛金の回収が出来ないことになれば、売り上げも利益もゼロになってしまいます。営業活動に掛けた費用、訴訟対応の費用を考えると実質的にはマイナスです。

弁護士に契約書作成を依頼すると、一般的な契約書の作成で数万円から10万円程度はかかりますが、それによって契約トラブルを回避し、売り上げや利益を守れると考えれば、決してコストは高くないと思います。

法務部がある会社であれば予防法務にも力を入れているでしょうが、ベンチャーや中小企業がそこまで意識を向けるのはなかなか難しいと思います。顧問弁護士として、外部の法務担当者のような立場でサポートし、法的トラブルとは無縁の会社をつくる力になれればと思っています。

依頼者のモヤモヤを晴らす「わかりやすい説明」がモットー

事務所の理念や大切にしていることを教えてください。

「わかりやすく説明する」ということを最も重視しています。

勤務弁護士だったときから、依頼者に、打ち合わせやメールでの説明がわかりやすいと評価してもらえることが多くありました。「先生が説明してくれるとよくわかる」と喜んでもらえることが嬉しくて、説明の技術にますます磨きをかけるようになりました。

当事務所はセカンドオピニオンを受けることも多いのですが、依頼者の中には「他の事務所に相談したけれど、弁護士が言ってることがわからなかった」と話す方が少なくありません。そのような気持ちにさせないように、事務所の弁護士全員で説明の技術を磨くようにしています。

企業法務について、どのような相談が寄せられますか。

日々の相談では、契約書のリーガルチェックや作成依頼、従業員との紛争に関する相談が多くあります。また、現在は、事業承継にも力を入れています。中小企業の代替わりのタイミングで経営権をめぐって争いになっているようなケースもあります。

後継者がいないために廃業したいという相談も寄せられます。資産は十分にあり、従業員も取引先も抱えているけれど、後継者がいないので廃業を考えている。どうやって手続きを進めればいいのかーー。このような悩みを抱えた方から相談を受けています。

廃業にあたっては、取引先との契約関係の解消や従業員の解雇などやるべきことが多く、経営者自身で進めていくのは大変です。進め方を間違えてしまうと取引先や従業員とトラブルになる可能性があり、実際に訴えられている会社もあります。

リスクを最小限に抑えつつ廃業に向けた手続きを進めていくために、弁護士の知識と経験が役に立つと考えています。当事務所では、依頼者の会社の顧問税理士の先生と連携しながら手続きを進めていきます。

企業法務と相続が交わるポイント「事業承継」に強み

企業法務における事務所ならではの強みを教えてください。

相続と中小企業法務という、当事務所の柱がちょうど交わる事業承継に力を入れて取り組んでいます。

事業承継は事前の対策がとても重要です。何も対策をせずに先代の経営者が亡くなった場合、残された人の間でトラブルが生じる可能性があります。

例えば創業者が株式を100%持っているとします。創業者には子どもが3人いて、いずれは長男に経営を任せたいという思いがあり、長男もそのつもりでいる。ところが、何も対策をせずに創業者が亡くなった場合、創業者が持っていた株式を相続人全員で共有することになります。

共有された株式について議決権を行使するためには、相続人全員が話し合って、権利を行使する人を決める必要があります。話合いで合意できず、株式の権利を行使する人を決められない場合は、共有する株式の持分割合に応じて決議を行い、過半数の同意を得た人が権利行使者となります。

相続人同士の仲が悪く、誰も過半数の同意を得られない場合には、「役員を誰にするか」といった今後の経営方針に関する意思決定ができません。「長男に経営を任せたい」という創業者の意思を実現できないどころか、会社の存続自体が危うくなる可能性もあります。

そのようなトラブルを防止するために、どのような対策が有効なのでしょう。

やり方は色々ありますが、一番シンプルなのは、生前に少しずつ後継者に株式を贈与するか売買で譲渡しておくことです。とにかく、後継者になる方に株式を集約して、理想としては100%移転させてあげる。そこが法律面から見た事業承継の核心です。

気をつけなければならないのが、株式も相続財産の1つということです。会社の株式の価値が高いと、後継者1人に多くの財産を渡すことになるので、相続人間で「あいつだけ財産を多くもらって不公平だ」と不満が出る可能性があります。

そのため、経営権をきちんと後継者に移しつつ、相続の争いにならないように相続人同士の利害を調整するという、2つの側面からの対策が必要になります。

事業承継を円滑に進めるためには、早めの準備が肝心です。これまでに培った経験を活かして、それぞれの会社にとって最善の対策を考えていければと思いますので、ぜひ気軽に相談していただきたいですね。

顧問先の事情を深く把握しているからこそ、オーダーメイドのアドバイスが可能

顧問業務にも力を入れているそうですね。

はい。もちろん単発の依頼も承っていますが、企業にとって、弁護士と顧問契約を結ぶメリットは大きいと考えています。

1つは、気軽に相談できることです。通常、弁護士に相談する際は、事前に予約を取り、事務所に足を運ぶ必要があります。顧問弁護士がいればその必要はなく、疑問や不安が生じたら電話、メール、オンライン面談ですぐに相談できます。

もう1つは、顧問業務を通じて、弁護士が顧問先の事情を深く把握できることです。その企業の歴史や事業内容、経営者の人柄、業界の風習など、相談を受けるたびに弁護士の知識も深まっていくので、関係が長くなればなるほどアドバイスの精度も増していきます。クライアントに合わせたオーダーメイドのアドバイスを提供できることは、顧問として継続的に契約していただくからこそのメリットだと思います。

最後に、企業法務について弁護士への相談・依頼を検討している方へメッセージをお願いします。

「こんなことを弁護士に相談していいのかな」と考えすぎず、なるべく早く相談してもらえればと思います。重要な法律問題が起きているのに、1人で悩んでいる時間が長くなると、相談に来た時点ではもう手遅れという事態になりかねません。
当事務所は多数の税理士事務所や司法書士事務所と連携して仕事をしています。法律問題だと思っていたけれど実は税金の問題だったという場合でも税理士の先生を紹介できますし、場合によっては法律相談に同席してもらうことも可能です。

会社経営は色々な問題が絡んでくるので、誰に相談すればいいのかわからなくなるかもしれませんが、迷ったらまずは弁護士にご相談ください。今ある悩みを解決するための方法を一緒に考えていきましょう。