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インタビュー
徹底的に考え抜き、ベストなソリューションを提示・実行することが弁護士の存在意義
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士登録してすぐに企業法務系の事務所に入所し、数年間経験を積んだのち、2016年に独立して現在の三浦総合法律事務所を設立しました。
仕事を始めた当初から、弁護士はいずれ独立して自分の事務所を持つものだ、と漠然と考えていました。実務をしていく中で、上からの指示に従って淡々と仕事をするのではなく、全て自分の責任のもとで方針を決定して遂行したいという気持ちが強くなり、独立を決意しました。
事務所の理念や大切にしていることを教えてください。
修習生のときに指導担当の裁判官から言われたことで、今も心に残っている言葉があります。それは、「我々法律家は、ペンと紙さえあればどこでも仕事ができる職業である」という言葉です。
つまり、我々の仕事は究極の知的労働であり、頭をフル活用して問題を解決していくことにこそ、法律家としての価値の源泉がある。裁判官は、おそらくそういうことを伝えたかったのだと思います。
知を集約して徹底的に考え抜き、依頼者にとってベストなソリューションを提案して実行していく。そこに弁護士の存在価値や個性があると考えています。単に事務手続きを代行するだけなら、必ずしも我々である必要はありません。常に依頼者に対して具体的にどのような付加価値を提供できるか、自分にしか実現できない価値は何か、ということを意識しながら仕事に取り組んでいます。
特に企業法務の場合、依頼者としても、「この問題は一筋縄ではいかないな」ということはわかった上で弁護士に相談するケースが多いです。一般論として難しいのはわかっているけれど、何とかしてほしいと思って相談に来てくださった。そういう方に対して、「できません」と言って、がっかりさせるようなことはしたくないんです。
依頼者が「無理かもしれない」と思っているとしても、その認識を覆し、希望が持てるような提案をしたい。いかに困難な案件でも、知恵を絞って「これが今考えうるベストなソリューションです」と提案できる弁護士でありたいと常に思っています。
依頼者の満足度を高めるために取り組んでいることはありますか。
迅速な対応です。企業法務においてはとにかくスピードが重要で、特に、スタートアップやベンチャー企業からは「すぐにコメントを返してほしい」と要望されることが多いです。顧問先のSlackに法務用のチャンネルを作成して登録してもらったり、現場の営業担当者から顧問弁護士に直接相談できる仕組みを構築するなどして、スムーズにやりとりすることを心がけています。
独立してから6年くらいまではずっと私1人でやってきたのですが、やはり1人だとスピード感に限界があります。そこで、2022年の年末に弁護士を1人採用し、複数名で大型案件にもよりスピーディーに対応できる体制を整えました。
また、企業法務の場合、他の分野と比べて1つの案件に関わってくる当事者の人数が多く、なるべく多くの当事者が納得できる提案をすることが重要です。なぜ私がそのような提案をするのか、手間を惜しまず丁寧に理由を説明することを心がけています。
ツールを活用して社内の状況をリアルタイムに把握。一歩踏み込んだアドバイスを提供
企業法務に注力している理由を教えてください。
私は法学部の出身ではなく、ロースクールに進学する前は、ずっと経営の勉強をしていました。学生の頃から会社は身近な存在で、弁護士になってからも「今まで勉強してきたことを活かして、会社の経営に関わるような仕事をしたい」と考えていました。
経営者というのは実は孤独な存在で、悩みがあっても誰にも相談できず、苦しんでいる方が少なくありません。そういう方たちを、法律面から陰で支えられる存在になりたいという気持ちもあり、企業法務に力を入れるようになりました。
企業法務について、よくある相談内容を教えてください。
最近は不動産会社から依頼を受けることがよくあり、特に都市再開発に関する案件を多く手がけています。都市再開発と一口に言っても内容は様々ですが、たとえば、事業を推進する上で必要な法的手続きや、テナントの立ち退き問題などに関する相談が寄せられます。
あとは、都内ではこのところ地価が上昇傾向にあるので、ビルやマンションのオーナーの方から「賃料を上げたい」という相談も多いです。
スタートアップやベンチャー企業からは、契約書や自社サービスの利用規約の作成・レビュー、資金調達やM&A、個人情報保護に関する相談などを承っています。契約書レビューの案件では、依頼者に不利な条項を修正するだけではなく、修正内容を相手方に納得してもらうためにどう交渉するか、といった戦略的な部分にも踏み込んでアドバイスしています。
顧問として長期的にサポートすることはもちろん、単発での依頼も承っています。
最近の相談の傾向はありますか。
法令遵守の認識が浸透してきたことや、企業の成長戦略としてM&Aやファンド等から資金調達が一般化してきたことに伴い、法務のニーズが高まっていると感じます。自社で法務部を作るのは難しいけれど、法的リスクへの備えをしたいと考える企業から、顧問を依頼されることが増えました。
会社によって顧問弁護士に求める要素は様々ですが、今後は、「会社の内部にもう一歩踏み込んだ立場でサポートしてほしい」というニーズが高まるのではないかと考えています。
顧問弁護士が、社内の法務担当者の代わりとなるようなイメージでしょうか。
顧問弁護士は原則として外部からアドバイスする立場になりますので、そのままでは完全に代替するのは難しいですが、やり方を工夫すれば近い役割は果たせると思います。
例えば、先ほどお話ししたSlack等のチームコミュニケーションツールを利用した連携は、顧問弁護士が会社にとってより近い存在となるために有効な方法の1つだと思います。Slackを継続的に見ていれば、社内で法務についてどのようなやりとりがされているかを知ることができ、気になった点があればすぐにコメントを入れられます。
通常、顧問弁護士に相談する際は、まず社内で相談内容を整理してから弁護士の元に持っていくという一手間が発生するので、どうしても時間がかかるんですよね。チームコミュニケーションツールで連携していれば、社内で起きていることを弁護士がリアルタイムで把握してアドバイスできるので、顧問先が相談内容をまとめる手間が省けますし、タイムロスも発生しません。副次的には、弁護士とのコミュニケーションを通じて、将来の法務担当候補者を養成するという効果もあるのではないかと期待しております。
紛争解決以外でも、積極的に弁護士を活用してほしい
初回相談の流れを教えてください。
まずは電話かメールで相談の日時を予約していただきます。相談は、オンラインでも対面でも、どちらでも構いません。
大まかな相談内容をあらかじめ把握した上でお話を伺いたいので、事前に資料をメールなどで送ってもらえるとありがたいです。資料を拝見して今後の見通しと方針を立てて、当日、丁寧に説明します。
企業法務の悩みについて、弁護士に相談するメリットは何でしょうか。
1つは、解決の幅が広がる可能性があることです。
「弁護士に相談しても解決できるかわからなくて、なかなか相談に来られなかった」と言われることが多いのですが、一方で、実際にお会いしてアドバイスさせて頂くと「こんなことも相談できるんですね!」と驚かれることもよくあります。
弁護士が対応できる問題の範囲は意外と広いんです。弁護士という選択肢が浮かんだら、あまり考えすぎず、とりあえず話を聞かせてもらえればと思います。ご自身が想像もしていなかった解決方法を提案できるかもしれません。
多くの方は紛争が起きてから相談に来ますが、紛争解決以外の場面でも、ぜひ積極的に弁護士を活用していただきたいですね。たとえば、会社で新しい事業を始めることになったとき、そのプロジェクトを前に進めて成功に導くために、弁護士がお手伝いできることがあります。
再開発事業はまさにわかりやすい例です。古いビルを新しいビルに建て替える場合、古いビルに入っているテナントの方に立ち退いてもらう必要があります。早い段階から弁護士に相談してもらえれば、再開発のスケジュールを踏まえて、立ち退きの手順や交渉を始めるタイミングなどをアドバイスし、スムーズに事業を進められるようサポートします。トラブルなく立ち退いてもらうために交渉のロジックを組み立てることはもちろん、弁護士が交渉を代理することも可能です。立退き料をどのくらい支払えばいいのか、といった相談にも知識と経験を踏まえてアドバイスします。
事業を推進するために、弁護士のサポートが有効なのですね。
はい。そのような認識はあまり浸透していないかもしれませんが、実際は、再開発に限らず他の事業についても、弁護士がお力になれる場面は沢山あると思っています。
「新しい事業を始めようと思っている」「トラブルなくプロジェクトを遂行したい」…そんなときは、ぜひお気軽に弁護士にご相談ください。目標を達成するために、きっと、我々が協力できるポイントがあると思います。
対話に時間をかけてこそ、依頼者が納得できる結果を導ける
これまで取り組まれた企業案件の中で、印象に残っているものはありますか。
全て印象に残っていますが、その中でも一番覚えているのが、解決まで3〜4年かかった再開発事業に関する案件です。駅前にある大きなビルの再開発で、テナントの立ち退きを巡って争いになり、裁判に発展しました。
再開発の案件で解決に3年以上かかるケースは少ないのですが、この事件は難しい論点があり、解決まで長い時間を要しました。当時、私はまだ弁護士1年目で、初めてメインで任された案件だったんです。事務所の所長や先輩の力も借りつつ、最終的に解決できたときは、嬉しかったというかほっとしましたね。弁護士としてのファーストステージをクリアしたような感覚でした。
当時の経験から学ばれたことはありますか。
この案件で何が大変だったかというと、依頼者に、我々が立てた方針や見通しを納得してもらうのが非常に難しかったんです。弁護士の仕事において肝心なことの1つが、こちらの考えをわかりやすく整理して、納得してもらえるまで説明を尽くすことです。裁判所に出す書面についてはもちろん、依頼者に対する説明でも同じことが言えます。
当時はまだ、うまく説明するための経験やノウハウが乏しかったので、とにかく時間をかけて説明するしかなく、依頼者と電話で2〜3時間話し続けたこともありました。
ただ、手間を惜しまず、理解してもらえるまで粘り強く説明したからこそ、依頼者が納得できる結果を導けたのだと考えています。大変な案件でしたが、非常にいい経験ができ、私のキャリアのベースになっています。
企業法務について、弁護士への相談や依頼を検討している方にメッセージをお願いします。
先ほどもお話ししたとおり、弁護士がお役に立てるのは紛争解決だけではありません。事業を推進するためのノウハウも豊富に蓄積しているので、プロジェクトを成功に導き、会社を成長させるためのサポートを提供できます。ぜひ、様々な場面で弁護士を活用していただければと思います。