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インタビュー
法的サポートに加え、経営判断に踏み込んだ実践的なアドバイスも提供
事務所設立の経緯を教えてください。
独立前に所属していた事務所が、企業の誹謗中傷対策やIT系のスタートアップ支援に注力していたんです。多数の案件を手がける中で、特に0→1のフェーズのスタートアップ支援の方にやりがいを感じ、こちらをメインで取り扱いたいと考えて事務所を立ち上げました。今年(2024年)で設立6年目になります。
クライアントの中には、起業したばかりで、まだビジネスモデルができあがっていない企業もあります。私もその企業のいちプレイヤーになった気持ちで、当事者意識を持ったうえで、ビジョンの実現に向けて、法律とビジネスの両面からサポートしています。
困難なことも少なくないですが、クライアントとともに一からビジネスの基盤を作っていく過程は非常にやりがいがあります。すでにビジネスモデルが確立されている大企業相手の仕事では、この面白さは味わえません。
事務所の特徴や理念を教えてください。
当事者意識を持って経営者の視点で考えることです。私のクライアントはIT系のスタートアップ・ベンチャーが多く、比較的規模が小さい企業が多いので、経営層と直接話す機会が多々あります。
法律の専門家としての視点はもちろん大切ですが、それだけでは十分ではないと考え、できるだけ経営判断に踏み込むことを意識しています。
たとえば、「こういうビジネスを新規で立ち上げようと思うのですが、どう思いますか?」と相談された場合に、法的に◯か×か△かという話だけされても、クライアントにしてみれば「じゃあどうすればいいのか?」と、釈然としない気持ちになると思うんです。
そこで、私がアドバイスをする際は、「法的にはこのように考えられますが、今の会社のフェーズや人的な資源、財務状況を考えると、こう対応する方がいいと思いますよ」というふうに、結局どうすることがその時点でのクライアントの成長のために最善かというところまで踏み込んで意見を伝えるようにしています。
単なる外部アドバイザーではなく、クライアントのビジョンや現状を理解し、クライアントの中の方にいる方の立場になって考え、具体的なアドバイスを提供することが私のモットーです。
常に勉強・情報収集に努め、クライアントに還元する
当事者意識を持って対応されているのですね。新規事業の戦略立案業務などもおこなっているとのことですが、どのようなサポートをしているのですか。
事業の内容などに合わせて微妙に対応を変えるため一律ではありませんが、基本的には、構想中の事業を成功させるためにどうすべきかをアドバイスし、その上で法的な説明をするという形で進めます。
まずはクライアントが目指すビジョンや、顧客ニーズ、市場などの現状分析を尽くした上で、ビジネスとして収益を得るための事業計画の改善から提案します。例えば、同業他社の成功例をもとに、「御社のビジネスにもマッチしそうなので、この手法を活用するといいかもしれません」といった提案や、より収益性を上げるためのスキームの提案をおこなうことも少なくありません。
ビジネスの視点からのアドバイスをした上で、事業の内容が法律に抵触していないかどうか説明し、抵触する場合は、適法な内容にするためにはどうすればいいか(ピボット)を提案します。
IT業界は新たな技術やビジネスモデルが次々と生まれ、その速さに法律の規制が追いついていないケースが少なくありません。事業の内容によっては、法的にアウトともセーフとも言い切れないグレーゾーンに踏み込まざるを得ない場合も多々あります。
リスクテイクが必要な場合、そのリスクが発生する可能性や結果の大きさ、事業への影響などを考慮して、「どのようにリスクを取るべきか」を意識したアドバイスを提供しています。
経営の話に踏み込んだアドバイスをするためには、ビジネスに関する情報収集が大事になると思います。具体的に取り組んでいることはありますか。
スタートアップに関連するイベントに参加したり、スタートアップに関連する様々な企業や個人の方と積極的に交流することを心がけています。また、IT業界の新しいプロダクトやサービスを利用して、実際にUIUXを体感してみることもあります。
最近は、他士業の先生方と一緒に、最近上場した企業の事業モデルや財務分析を検討する勉強会をおこなうこともあります。企業ごとのビジネスモデルや戦略について勉強する中で、クライアントへのアドバイスに活かせる要素が見つかることも多いです。
企業法務に取り組む以上、ビジネスについての勉強や情報収集は必須です。常にアンテナを張り巡らし、イベントや勉強会への参加、SNS、書籍などを通じて、ビジネス全般に関するインプットの時間をできるだけ多く確保するように努めています。
トラブルを避け、順調に発展を遂げていくためには、弁護士のサポートが有効
仕事をする上で心がけていることを教えてください。
1つは、先ほど話したように、経営判断に踏み込んだアドバイスをすることです。もう1つはスピード感です。特にレスポンスのスピードは意識していて、クライアントから連絡が来たら、基本的には速やかに返信します。
すぐに答えられる質問であればその場で回答しますし、調査が必要な場合は少し時間がかかる旨を伝えるなどして、とにかく早めに何らかの反応を返すようにしています。
スタートアップの場合、早めにPDCAを回したいと考えているクライアントが多いです。計画に支障が出ないよう、あらかじめ「この手続きがいつまでに終わるか」「いつまでに返答できるか」といったスケジュールを伝えることを心がけています。
企業の経営について悩みが生じたときに、弁護士に相談するメリットは何だと思いますか。
1番のメリットは、法律的にセーフかどうかを的確に判断してもらえることだと思います。たとえば、法律を無視して新規事業を走らせて、後になってから違法だとわかった場合、事業を中止したり方向性を変えたりしなければならず、それまでに投下したお金や時間が無駄になってしまいます。
弁護士に相談し、リーガルチェックを受けることで、その事業が法律に抵触しないかどうか、抵触する場合はどの部分を見直せばいいのか、といったことについてアドバイスを受けられます。ビジネスとして利益が見込めて、法的にも問題ない。そう確信を得られれば安心して事業を始められますし、どこにどのくらいリソースを割けばいいのかも安定的に定めることができます。
また、契約トラブルを回避できることもメリットの1つです。当事務所には資金調達に関する相談が多く寄せられるのですが、資金調達を成功させるためには、投資家との契約締結時のリーガルチェックが必要不可欠です。
投資契約を締結する際は、自社から契約書を提示するばかりではなく、投資家から投資契約書が提示されることもあります。投資契約書には、企業にとって不利益な条項が盛り込まれている場合があり、内容を吟味せずに契約を結んでしまうと、後々トラブルが発生する可能性があります。
資金調達は企業の成長のために行うものであるはずなのに、不利益な内容で契約して成長が阻まれてしまったら、それほど悲しいことはありません。契約を結ぶ前に弁護士のチェックを受けることでリスクを回避できますし、投資家との交渉を依頼し、不利な条項の修正を求めることも可能です。
ひとたびトラブルが発生してしまうと、リカバリーに時間がかかり、事業運営に支障が出ます。ビジネスに関する疑問や不安が生じたときは、ぜひ早めに弁護士に相談していただければと思います。
顧問料以上のバリューを感じてもらえる仕事を
顧問先の企業を多く抱えていらっしゃいますが、顧問ではなく単発の案件として依頼することもできますか。
はい、単発の依頼も受けています。契約書のチェックや作成の依頼、紛争対応が多いです。
単発の依頼で完結するケースもありますが、基本的には、顧問契約をしていただく方がクライアントにとってのメリットが大きいと考えています。
顧問として継続的にクライアントとの関係を築くことで、事業内容や経営状況、目指す方向などを深く理解した上で、そのクライアントにとって一番いい方法で対応を進めることができます。クライアントと弁護士が共通認識を持てるので、新しい案件が発生するたびにクライアントが細かい指示をする必要がなくなることも、顧問契約をする利点だと思います。
顧問を依頼したくても、経済的な事情で二の足を踏んでいる企業もあるかもしれません。
確かに、資金的に顧問契約が厳しい企業は少なくありません。当事務所では、クライアントの事情を伺い、ビジネスがある程度軌道に乗るまでは少し顧問料を下げたりして、月々の支出が大きくなりすぎないように調整することもあります。コスト面が気になる方も、まずはご相談ください。
顧問契約をしていただくからには、お支払いいただいた顧問料以上のバリューを提供することが私の務めです。単なる法的アドバイスにとどまらず、経営戦略にも踏み込んだ提案をし、ビジネスを成長させていくためのパートナーとして価値を感じてもらえるよう、全ての業務に真摯に取り組んでいます。
「自分が経営者なら?」という視点で考え、クライアントの成長をサポート
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
どんなことも気軽に相談してもらえる関係を築くために、個人の携帯電話番号をお伝えし、いつでも連絡が取れる状況にしています。もちろん常に電話に出れるわけではないのですが、隙間時間で早めに折り返すことで緊急事態にも出来る限り対応できるよう心がけています。
また、クライアントによっては、定期的に訪問し、クライアント社内のメンバーとコミュニケーションを取ることで密な連携体制を取ることもあります。
相談を受けた際に私が意識しているのは、弁護士としての視点に加えて、「自分が経営者だったらどうするか?」という視点にも立ってアドバイスを提供することです。
「法的サポートだけではなく、経営判断にもガンガン踏み込んでほしい」「会社としてどうすべきか、忖度せずに意見を言ってほしい」。そのように思われている経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
独立前から現在に至るまでの多様なIT系スタートアップの案件を手がけて、ビジネスの戦略立案や交渉に関する知見を蓄積してきました。弁護士として、そしてクライアントの成長を支援するビジネスパートナーとして、お力になれればと思います。