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インタビュー
企業の問題を解決し、事業が成長する姿を見られる喜び
法律家を目指した経緯から教えてください。
実は、私は、初めから弁護士を目指していたわけではありません。
中学生の頃、前総理大臣が逮捕・起訴されたロッキード事件で実刑判決の言渡しがあり、大きな衝撃を受けました。このとき、正義を追求する「検察官」という職業を知ったのが法律家に関心を抱くきっかけでした。
検察官になるには、司法試験に合格しなければならないことも知りましたが、当時の司法試験の合格率は2%を切る年もあり、同じ早稲田大学の政治経済学部にも合格していた当時の私には、最難関と言われる司法試験に合格できるとはどうしても思えず、あえて法学部には入学しませんでした。
1992年、大学卒業後、私は、新卒で生命保険会社に内勤の総合職として就職し、支社や本部で保険販売の後方支援に従事しました。
ある日、たまたま、会社の独身寮の近くの書店で手にしたのが経済で名高い高杉良さんの『会社蘇生』でした。これは、故・三宅 省三弁護士が老舗の商社の再建に尽力した、会社更生事件をモデルとする小説です。それまで、弁護士と言うと、刑事弁護、離婚や相続といった事件が頭に浮かぶ程度でしたので、弁護士の業務には、倒産手続きという分野もあるのかとその魅力を初めて知ることとなりました。
就職して数年後、大学時代の先輩や友人たちが司法試験に合格したことを知り、難関に挑戦してみたいという思いが芽生えてきました。
人生の進路に迷いましたが、私は弁護士をめざしてみようと決意し、週末に司法試験予備校に通い始めましたが、平日は、早朝から深夜まで働く毎日が続きました。仕事と勉強の両立は難しく、結局、1996年3月には、会社を辞めて司法試験に専念することにしました。
周囲の猛反対に遭いましたが、退路を断って司法試験に挑戦することにしました。当時も、まだ100名が受けて1~2名しか合格しないという時代でしたが、不思議なことに、合格できる確信のようなものがありました。
しかし、司法試験は、さすがに難しく、会社を辞めてしまったことを後悔することもありましたが、最後の年は、寝ているとき以外は勉強という日々を送り、ようやく司法試験に合格しました。
現在の事務所を設立された経緯を教えてください。
2001年に弁護士登録してから、都内の弁護士事務所で経験を積み、証券会社のM&Aアドバイザリー部などでも研鑽し、2018年に現在の事務所を開設しました。会社での経験を活かせることから、これまでの事務所では、概して、企業法務を中心に担当し、現在も、人事労務、知的財産権、事業承継・M&A、会社法といった企業法務に注力しています。
顧問先は50社を超え、上場企業から中堅中小企業、ベンチャー、スタートアップまでいろいろな業種の企業のお手伝いをさせていただいています。
企業法務を取り扱うやりがいや魅力は何でしょうか。
クライアント企業と継続して関わらせていただくことで、経営者の方々に伴走しながら、企業の成長や発展を間近で経験させていただくことです。ほんとうに長くお付き合いさせていただいているクライアント企業が、山あり谷ありで、事業承継を経験したり、同業他社を買収したりしながら、大小さまざまなトラブルを乗り越えて、発展を続けていく様子や経営者の方々の奮闘を間近で拝見することは、黒子である私たちにとっても、我がことのように嬉しいものです。
個人のお客様の場合は、事件を解決した時点で弁護士の役目は終了となるため、お客様のその後を知ることはあまりありません。一方、企業法務は、息の長いお付合いとなるため、自身の執務の成果が目に見えてわかることにやりがいを感じます。
どの業界からの相談が多いですか。
業種はほんとうに多様ですが、不動産業や人材関係の企業、製造業、IT関連企業が中心です。最近は、外国人を雇用するクライアント企業も増えてきているので、そういった分野のご相談も多いです。クライアント企業の規模もさまざまで、関連会社を入れると10,000人を超える社員の方が働いている企業もあれば、数人で立ち上げて間もない企業もあります。
企業法務を手がける上で心がけていることを教えてください。
2つあります。1つはクライアント企業のビジネスモデルをよく理解することです。弁護士になりたての頃、ある企業からのご相談を、あまり準備もしないまま受けたことがありました。今思えば当然の結果なのですが、クライアント企業とのやり取りがちぐはぐになってしまいました。
現在は、当然のことながら、クライアント企業の沿革や事業内容について、公刊物や企業のサイトで徹底して調べた上で、それでもわからないときは、知ったかぶりはせず、クライアント企業のご担当者からいろいろと教えていただく姿勢を大事にしています。
もう1つはスピード感です。クライアント企業の経営者の方々や担当部門の方々は日々の業務で忙しい中、直面した疑問や問題点を相談されるわけですし、多忙な中の合間で時間を割いてくださるのに、こちらが悠長に構えているわけにはいきません。できるだけ早く対応することを意識しています。
トラブル対処よりトラブル予防に貢献
最近の相談の特徴や傾向があれば教えてください。
ハラスメントに対する問題意識が社会全体で高くなっているためでしょうか、パワハラやセクハラに関する相談が増えています。
業種を問わず経営者共通の悩みだと感じるのがハラスメントの「境界」です。注意と叱責、指導と助言はどこが境界線なのか、損害賠償請求や懲戒処分の対象になるのはどの段階からなのか、企業は、難しい判断を迫られる場面が多いですね。
ハラスメントの相談を受けた場合、時間をかけず迅速に当事者の話を聴くようにしています。1週間も2週間も調査に時間をかけてしまうと、記憶が曖昧になって話す内容が変わってしまったり、証拠隠滅を図られたりするおそれがあります。
できるだけ早く、多くの関係者から話を聞いて、客観的な事実と符合している内容はどれか、誰が話しているどの内容が事実なのかを検討することが大切です。
ハラスメントが起きてしまった場合は、健全な労使関係を築いてほしいという願いも込めて、トラブルを機に法令上の義務やガイドラインで定められている義務の徹底をアドバイスしています。
企業法務分野の悩みを解決する上で、顧問弁護士を抱えるメリットを教えてください。
企業法務において、弁護士と顧問契約を結ぶことは、リーガルリスクの予防や業務の効率化に大きなメリットがあります。
まずは、リーガルリスクの予防と早期対応です。顧問弁護士は、企業のビジネスモデルを把握しており、問題が発生する前にその予防に向けたアドバイスを行うことができます。また、トラブルが発生しても、早期に対応することでリスクを最小限に抑えることができます。
次は、コストの最適化です。弁護士と顧問契約を結ぶことで、自社のビジネスモデルを知っている顧問弁護士からいつでも的確なアドバイスを受けることができ、問題が深刻になる前に対処できます。これにより、訴訟や突発的な法的トラブルにかかる費用を削減することができるのです。
また、契約書のドラフトの作成やレビューにも対応できます。顧問弁護士は、クライアント企業のビジネスモデルを把握した上で、契約書のドラフトの作成やレビューを行い、リスクのある条項を指摘したり、代替案を提案したりすることができます。取引先との交渉でも、的確なアドバイスを提供し、クライアント企業が知らぬ間に不利な立場に立たされることのないようにサポートします。
さらに、法改正や関連する裁判例の情報提供も挙げられます。顧問弁護士は、クライアント企業に適用される法令の改正や関連する裁判例の情報を提供し、クライアント企業が自社に関連する新法や改正法、裁判例に的確に適応できるよう支援します。
そして、訴訟リスクの軽減も顧問弁護士をつけることのメリットといえるでしょう。訴訟を提起する場合はもちろんですが、訴訟を起こされてしまった場合も、顧問弁護士のアドバイスによって、迅速かつ的確な対応が可能となります。また、訴訟を未然に防ぐ戦略のお手伝いや訴訟以外の紛争解決手段のご提案も行っています。
このように、知見や経験の豊富な弁護士と顧問契約を結ぶことで、クライアント企業は、法的リスクを軽減し、効率的かつ迅速に問題を解決することができますので、顧問弁護士は、クライアント企業の安定や成長に欠かせない存在といえるでしょう。
顧問弁護士がいれば、予防法務のような、トラブルを未然に防ぐアドバイスも受けられるのですね。
はい、もちろん、そういったアドバイスもご提供しています。例えば、以前、あるクライアント企業が自社商品の広告を出したところ、同業他社から広告内容にクレームをつけられるということがありました。気軽に相談できる弁護士が身近にいれば、「表現や書き方に問題はないか」「第三者機関による調査を経ているか」など、広告を出す前にチェックができ、トラブルを未然に防ぐことができます。
何かトラブルが起きてから対処するのではなく、トラブルにならないように対策することが重要であり、それが顧問弁護士を抱える大きなメリットだと思います。企業間の取引だけでなく、社内の労務関係など、問題が深刻になって訴訟に発展すれば裁判費用がかかり、損害が拡大するおそれもあります。早い段階でトラブルの芽を摘むことは、コストを抑え、企業の利益を守ることにつながるといえるでしょう。
従業員の困りごとや不安解消もお手伝い
今後手がけていきたい案件はありますか。
ご自分の会社のことを一生懸命に考え、熱意を持って経営されている志ある経営者の方はたくさんいらっしゃいます。そのような真面目な経営者の方でも、取引先や従業員とのトラブルに巻き込まれるおそれはゼロではなく、万が一トラブルに巻き込まれた場合は、事業の継続に多少なりとも支障が出てしまいます。そうならないように、志ある経営者の力となり、事業発展のお手伝いをしていきたいと考えています。
また、従業員が個人的な問題について弁護士に相談できる「従業員支援プログラム(Employee Assistance Program(「EAP」))」にも力を入れています。従業員が抱える私生活上の法的トラブルを解消し、業務に専念できるようにサポートすることは、従業員の離職を防ぎ、企業の生産性の向上につながります。こうした場面でも、クライアント企業をご支援していきたいと考えています。
企業法務分野における先生の事務所の強みは何でしょうか。
まずは、豊富な知見や経験です。日本橋法律特許事務所では、これまでに多岐にわたる企業法務案件を取り扱ってきました。労務管理、知的財産、コンプライアンス、取引契約、事業承継・M&A、紛争の予防や解決といったさまざまな分野に対応し、クライアント企業の信頼を獲得してきた実績があります。
第2は、クライアントに寄り添う丁寧な対応です。日本橋法律特許事務所では、クライアント一社一社のニーズや事業特性を深く理解し、各社に最適な解決策を提供することを心がけています。スタンダードな法的対応にとどまらず、ビジネスの観点を考慮した実務的なアドバイスを行っています。
第3は、スピード感と柔軟性です。ビジネスの現場では、日々、迅速な意思決定が求められます。日本橋法律特許事務所は、クライアント企業のために迅速で柔軟な対応を心がけ、クライアント企業のスケジュールに副ったサポートを提供しています。
第4は、予防法務の重視です。トラブルが発生しないように、リスクを未然に摘むことを目的とした予防法務を得意としています。契約書のドラフトの作成やレビュー、社内規程の整備を通じて、トラブルを未然に防ぎます。
第5は、国際案件への対応力です。グローバル化が進む現代において、海外取引や国際的な法務問題にも対応可能な体制を整え、必要に応じて外国法の専門家とも連携し、最適な法的支援を提供しています。
企業法務について弁護士への相談・依頼を検討している方へ向けて、メッセージをお願いします。
現代のビジネス環境は、急速に変化し、複雑化を増すリーガルリスクへの対応は益々重要になってきています。そして、企業は、労務管理、知的財産、コンプライアンス、取引契約、事業承継・M&A、紛争の予防や解決等々のさまざまな分野において、適正妥当な法的対応を行うことが求められ、そうした対応の一つひとつが事業の安定と成長に直結します。
私ども日本橋法律特許事務所では、企業法務のスペシャリストとして、クライアント企業を法律面でバックアップさせていただくパートナーでありたいと考えています。これまでに蓄積してきた法律の専門的な知見や経験を活かし、これからも、企業の規模や業種を問わず、事業運営に伴うさまざまな法律問題について、①リスクの予防に向けた諸施策の提案、②トラブルや紛争が生じたときの解決に向けた迅速な対応、③リーガルリスクを見据えたプロアクティブなアドバイス等々を提供して参ります。
リーガルサポートを必要とされるみなさんには、まずは、お気軽にご相談くださいと申し上げたいです。みなさんの会社のさらなる発展に向け、ご相談を通じ、最適な法的アプローチをご提案させていただき、ご期待に副うべく、全力でお手伝いさせていただきます。