
インタビュー
企業法務において弁護士の関与が不足している
企業法務に注力している理由を教えてください。
これまで、弁護士として多くの事件に携わってきただけでなく、簡易裁判所の非常勤裁判官(民事調停官)としても、様々な事件を担当しました。その中には、早い段階で弁護士に相談していれば紛争にならずに済んだと思える事件がいくつもありました。
そのような事件を通じて、企業法務において弁護士の関与が不足していると感じたことが、企業法務に注力しようと思った理由です。
弁護士の関与が必要だと感じたトラブルには、どのようなものがありますか?
契約書の不備に関するケースが挙げられます。長年にわたり取引がある企業間などで顕著なのですが、契約書を作成せずに取引をおこなってしまうことがあります。
たとえば、製造業を営んでいる会社が、取引先に商品を納品しようとしたところ、「発注した内容と違う」と納品を拒否されたとします。このようなときに、契約書などがあれば、商品が発注どおりに製造されていることを立証できますが、契約書などがないとそのような立証ができず、その結果代金を回収することができないという事態も起こりえます。
長年、契約書を取り交わさずに取引しており、今更契約書を結ぶことなどできないというような場合でも、取引内容や合意事項をメールやLINE、FAXなどの形で文書に残しておくことが重要です。弁護士が関与していれば、日常の業務からこうしたアドバイスを提供でき、トラブルを未然に防げると感じました。
企業法務を手掛ける上で心がけていることはありますか。
どんなに簡単な法律問題であっても、見落としや誤解が生じる可能性はゼロではありません。そのため、一つひとつ丁寧に調査することを心がけています。「調べなくてもわかる」と思う事案であっても、法律の条文や書類を調べ、自分の法的解釈が正しいか確認しています。
また、クライアントとの信頼関係の構築を重視しています。信頼関係がなければ、クライアントは弁護士に気軽に相談することができませんし、弁護士のアドバイスに耳を傾けることもないと思います。打ち合わせを密におこなうなどコミュニケーションを大切にして、信頼関係の構築に努めています。
法的な解釈をはっきり伝えることも、大事なことです。クライアントの願望通りの解決が難しい場合でも、正確な見通しを伝えることが弁護士の役目です。しかし、「難しい」と伝えるだけではなく、代案を用意するなど適切なアドバイスを提供し、クライアントが最善の選択をおこなえるように配慮しています。
経営の実務経験を活かした実践的アドバイスを提供
企業法務について弁護士に相談するメリットは何ですか。
法的紛争を解決できることもメリットですが、それだけではなく、普段から何気ない悩みや疑問について気軽に相談できる弁護士が居ることに、多くのメリットが存在すると思います。
企業経営においては、実際に紛争にまでは発展していないが、取引先からクレームを受けたり、従業員から労務環境の改善を求められたり、さらには株主間に対立が生じるなど様々な問題が起こる可能性があります。これらの問題を放置すると事態は悪化し、実際に紛争化してしまうケースもあります。しかし、気軽に相談できる弁護士が身近にいれば、問題が大きくなる前に沈静化できたり、未然に防ぐことが可能です。
体調に異変を感じたときにかかりつけの病院に行くように、疑問や不安を感じたときに気軽に相談できるかかりつけ医的な弁護士がいることは、企業経営の健全性と安定性を確保するために有益な手段だと思います。
スポットで依頼するよりも顧問契約のほうが良いのでしょうか?
顧問契約を結んでいる場合、弁護士は日ごろからクライアントの状況を把握することができ、クライアントの実情に沿った法的アドバイスを提供できます。また、日々の業務や法的問題を気軽に相談することで、リスク管理が向上するといったメリットがあります。
しかし、コストがかかることや、弁護士を必要とするケースがどれほどあるかわからないといった理由から、顧問契約を結ぶことに抵抗を感じる企業も多いかと思います。そのような場合、顧問契約を結ぶ前に、スポットでの相談を検討することも一つの方法です。
当事務所では、30分5500円で相談が可能ですので、お試しで企業法務の相談をしてみるという気持ちで気軽に利用してみてください。そして、相談を重ねる中で顧問契約のメリットを感じていただけたら、契約を検討するというのでも良いと思います。
これまで携わった案件で印象に残っている案件はありますか。
会社の一時取締役を務めたことがあります。一時取締役とは、なんらかの事情で役員が欠けた会社において、裁判所から選任された者が一時的に役員の職務を担うものです。
代表取締役がいなくなった会社の一時取締役に選任された私は、会社の経営者としての立場を担い、マネージメントを経験しました。弁護士としてアドバイスするのではなく、自身が経営者として株主総会を招集したり、関係先と交渉したりして、代表者として対応したことは、非常に貴重な経験となりました。
この案件を通じて、経営者の苦労や責任を肌で感じ、とても良く理解する機会が得られました。法律の専門知識だけではなく、経営の実務経験が弁護士としての視点をさらに深化させ、クライアントに対してより実践的なアドバイスを提供できるようになったと思います。
企業法務はクライアントと共に歩む二人三脚
企業法務分野における先生の強みを教えてください。
一時取締役として企業経営を経験したことから、経営者の立場からの視点で、経営に関する法的課題に対して具体的かつ実践的なアドバイスができることが強みです。
また、民事調停官として様々な企業案件に関与した経験から、裁判所視点で物事を判断できます。弁護士はクライアントの利益を最優先に考えますが、民事調停官は中立的な立場を保ち、公平な解決を促進する役割を果たします。
法的トラブルの最終的な解決は裁判官に委ねられることが多いため、中立的な立場で物事を評価できる能力は重要です。クライアントの立場を尊重しながらも、裁判所がどのように判断する可能性があるかを考慮し、的確なアドバイスを提供できることが強みと言えます。
企業法務のやりがいを教えてください。
企業法務は、個人案件とは異なる独自の魅力があります。それは、企業法務が継続的で長期的なプロセスであり、クライアントと共に長い道のりを歩みながらさまざまな障害物を乗り越えていく点にあります。
個人案件は短期的な解決が目指されることが多く、100メートル走のようにゴールが近くに見えます。一方で、企業法務にゴールはなく、企業が存続するかぎり続く長い道のりとなります。その長い道のりをクライアントと共に歩み、二人三脚で障害物を乗り越えて行くことにやりがいを感じます。
今後の展望をお聞かせください。
Zoomなどを活用した、気軽に相談できる環境を構築していくことを考えています。従来の対面相談だけでなく、リモートでの相談を円滑におこなえるようにすることで、クライアントとの関係をより密接にし、スピーディーな対応を実現したいと考えています。これにより、クライアントが法的課題に対して迅速なアドバイスを受けられ、トラブルの予防や解決に役立つことを期待しています。
最後に、企業法務の問題で悩んでいる方にメッセージをお願いします。
弁護士に相談したことがない方にとって、はじめから顧問契約を結ぶことはハードルが高いと感じるかもしれません。そこで、当事務所は30分5500円というリーズナブルな価格で気軽にご相談いただける環境を整えています。初めての相談でも、法務の専門家との対話を通じて、法的な視点やアドバイスの価値を実感していただけると思います。
コンプライアンスがますます厳格に求められる現代社会において、法務のサポートは不可欠です。病気を患ったときに病院を受診するように、法務の問題に悩んだ際には、弁護士に相談し、アドバイスを受けることで、企業経営がよりスムーズに進むことでしょう。身近に気軽に相談できる弁護士を見つけることが、企業経営における成功につながる一歩となるはずです。
法務のことで悩み事があれば、どんな悩みでもお気軽にご相談ください。頼りになるパートナーとしてお手伝いできることを心より願っています。